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保険コラム 社会保険のことを知ろうシリーズ5 ~公的な死亡保障とは~

 

もしも家計を支える方が病気や事故で亡くなってしまった場合の備えとして代表的なものが生命保険ですが、社会保険にもそうした場合に保障を受けることが出来る制度があります。
今回は家計の中心となる方に万が一のことがあった時の「遺族年金」についてご紹介します。

遺族年金とは?

 遺族年金とは、亡くなった人によって生計を維持されていた遺族に対して生活を保障する目的で支給される公的年金で、遺国民年金または厚生年金に加入している人が亡くなった時、その方が生計を維持していた遺族に対して支払われます。国民年金に加入している方が亡くなった場合には「遺族基礎年金」が支給され、厚生年金に加入している方が亡くなった場合に遺族基礎年金にプラスして「遺族厚生年金」が支給される、いわゆる2階建ての構造になっています。
 亡くなった方が年金制度に25年以上加入していたことが国民基礎年金の給付の条件となりますが、まだ若い方が年金に加入してから25年に満たずして亡くなった場合などは加入期間の3分の2以上の保険料納付期間があれば遺族年金が支給されます。さらに65歳未満で亡くなった場合は、亡くなる前の前々月までの1年間に保険料を滞納していなければ支給されます(2026年4月1日までの特例措置)。

 遺族基礎年金と遺族厚生年金では、支給要件、対象者、年金額も異なります。

 この他にも、それぞれの遺族年金に受け取れる条件がありますので、見ていきましょう。

遺族基礎年金が受け取れるのは?受給できる金額は?

 

 先ほどの表の通り、遺族基礎年金を受け取ることが出来るのは死亡した方が生計を維持していた子供のいる配偶者と子供となります。そのため、お子様のいない配偶者は遺族基礎年金を受け取ることが出来ず、また、お子様が全員18歳到達年度の末日を迎えた配偶者は、お子様がいないものと見なされるため、支給は停止されます。18歳到達の年度末というと、一般的には高校を卒業する年の3月までが支給の対象となります。また、例えばお子様が2人いる場合でも、上のお子様が高校を卒業した後は、遺族基礎年金の対象になるお子様は1人に減ります。お子様がいても、全員が高校を卒業している場合は、「子どもはなし」とみなされ、遺族基礎年金の支給対象からは外されます。

夫(自営業)死亡時に妻が35歳で、お子様が2人いるケース

この場合、第1子が18歳到達の年度末を迎えるまでは
777,800円+子の加算額 447,600円(第1子・第2子 各223,800円)= 1,225,400円

第2子が18歳到達の年度末を迎えるまでは
777,800円+子の加算額 223,800円 = 1,001,600円

を受け取ることが出来ます。

 では、お子様が高校を卒業した後は、奥様が受け取れるご自身の老齢年金以外の公的な保障は何もないのかというと、そうではありません。国民年金の第1号被保険者(国民年金の第1号被保険者)独自の給付として寡婦年金と死亡一時金があります。
 寡婦年金は、国民年金の納付期間が10年以上(免除期間を含みます)あった夫が、老齢年金などを受け取ることなく死亡した時に、その夫によって生計を維持されていた10年以上の継続的な婚姻関係があった妻が60歳から64歳まで受け取れる年金です。
 一方、死亡一時金国民年金を36か月以上保険料を納付している人が、老齢基礎年金や障害基礎年金を受け取ることなく死亡した時に、生計を一としていた遺族が受け取ることが出来る一時金です。配偶者→子供→父母→孫→祖父母→兄弟姉妹の順で優先順位がつけられています。一時金の額は保険料納付月数で異なり、120,000円~320,000円となっています。
 寡婦年金と死亡一時金はどちらか一方しか受けられないため、注意が必要です。

遺族厚生年金が受け取れるのは?受給できる金額は?

 遺族厚生年金の支払い対象者は、遺族基礎年金よりも要件が広いことが特徴で、死亡した方が生計を維持していた妻、子・孫、55歳以上の夫・父母・祖父母、となります。ただし、それぞれで遺族厚生年金が支払われるための要件があります。

・妻:要件なし(30歳未満の場合は5年間のみ給付)
・夫:生計を維持している人が死亡した当時に55歳以上であること
・子・孫:18歳到達年度の末日3月31日まで、または障害等級1級・2級の20歳未満の子
・父母・祖父母:生計を維持している人が死亡した当時に55歳以上であること

 30歳未満の妻は仕事に就いて働ける可能性が高いため、5年間のみの支給となります。また、遺族厚生年金は基礎年金と異なり、子供がいないご家庭における配偶者に対しても支給されます。

夫(会社員)死亡時に妻が35歳で、お子様が2人いるケース

 遺族厚生年金の計算方法はとても複雑ですので、正確な金額を知りたい場合は年金事務所に相談すると良いでしょう。年齢や年収から計算した概算の目安の金額をはこちらになります。

亡くなられた方の平均月収が35万円だった場合
第1子が18歳到達の年度末を迎えるまでは
遺族厚生年金 431,629円+遺族基礎年金 1,225,400円 = 1,657,029円

第2子が18歳到達の年度末を迎えるまでは
遺族厚生年金 431,629円+遺族基礎年金 1,001,600円 = 1,433,229円

を受け取ることが出来ます。
 妻が受給者となる場合、遺族厚生年金は一生涯打ち切られることがありません。また、夫が死亡したときに、40歳以上の子供のいない妻 (夫が死亡後、40歳到達時に子供がいたが、その後末子が18歳到達年度の末日をむかえた妻を含む)に対する、遺族厚生年金に、40~65歳の間加算される中高齢寡婦加算があります。中高齢寡婦加算は遺族基礎年金の3分の4です。

 また、平成26年4月より父子家庭にも遺族基礎年金が支給されるようになりました。
 妻(会社員)死亡時に夫が35歳で、お子様が2人いるケースはこのようになります。

 基本的には先ほどのケースと受給できる金額は変わりませんが、妻が亡くなった時点で夫が55歳未満の場合は夫は遺族年金を受給することが出来ず、優先順位から受給者はお子様になりますので、お子様が18歳到達の年度末を迎えられた時点で遺族年金は打ち切られます。

 また、遺族年金を受給している人が再婚(事実婚を含む)すると、年金を受けられなくなります。ただし、子供がいる場合は、子供が18歳到達年度まで受けることができます。

遺族年金を受給する時の手続きはどうすればいいの?

 遺族年金を受給するためには死亡したことの届け出を行い、請求書を提出する必要があります。
 もしも手続きを忘れてしまっていた場合でも、受給権が発生してから5年以内のものは請求が可能ですが、5年を超えた年金は時効となり、権利がなくなるのでもしもの際にはお早めにお手続きをした方が良いでしょう。
 なお、死亡一時金は時効が2年と短くなっていますのでご注意ください。

遺族年金の受給を希望する場合、必要な書類を揃えて所定の場所で申請手続きを行います。申請場所は年金の種類によって異なり、国民年金加入者の場合、申請先は住民票がある市町村役場または最寄りの年金相談センターに、厚生年金加入者の場合は都道府県の年金事務所または最寄りの年金相談センターになります。
いずれの場合も、年金事務所、年金相談センターの窓口で「年金請求書」を受け取るか、日本年金機構のホームページからダウンロードして必要事項を記入したうえで、対応する窓口に必要書類を添えて提出することになります。

 必要となる書類等は以下の通りです。

・年金手帳
・年金証書(公的年金受給中に死亡した場合に必要)
・戸籍謄本(申請者と死亡者との続柄、申請者の氏名、生年月日の確認に使用。提出日から6カ月以内に交付されたもの)
・世帯全員の住民票の写し
・死亡者の住民票の除票(上記の世帯全員の住民票の写しに含まれている場合は不要)
・請求者の収入が確認できる書類(所得証明書、課税(非課税)証明書、源泉徴収票など)
・子どもの収入が確認できる書類
・死亡診断書(死体検案書等)のコピーまたは死亡届の記載事項証明書
・受取先金融機関の通帳等(本人名義)
・印鑑

この他、亡くなられた際の状況等によって必要書類が変わります。不明点がある場合は、年金事務所、年金相談センター等に問い合わせるとスムーズです。

 年金請求書と必要書類を提出した後、申請が受け入れられると、日本年金機構から年金証書・年金決定通知書が送付されます。申請から受け取りまでは、約60日かかります。初回の年金受け取りの前に日本年金機構から発送される年金支払い通知書が届いてから約50日後に、指定した口座に年金が入金され、以降偶数月の15日(土日祝の場合はその前の平日)に2ヶ月分ずつ振り込まれます。
 初回の受け取りは申請からおよそ110日ほどかかりますので、覚えておきましょう。

まとめ

 いかがでしたでしょうか?
 ご紹介した通り、一家の大黒柱に万が一のことがあっても遺族年金という公的な保障を受けることが出来ます。しかし、受け取れる額だけで生活費、お子様の学費等すべてをカバーするのには心もとないと思われるかもしれません。万が一の時のために、必要補償額を計算し、民間の生命保険等で備えておくとより安心です。
 また、民間の生命保険を契約しようと考えた際も、遺族年金をいくら受け取れるのか知っておくことで、いくらくらいの保障が必要になるのかわかりやすく、無駄なく準備することが出来ます。必要補償額の計算や生命保険については、ぜひ弊社までご相談ください。

 この他にも様々なリスクに対応できる社会保険についてご紹介いたしますので、またご覧いただき、お役立ていただければ幸いです。

 

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