保険コラム

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法人の自転車保険について

 自転車事故は被害者だけではなく、加害者にとっても大きな負担となることから、自転車保険の加入を義務化する地域も増加しています。平成7年に初めて兵庫県が義務化の条例を制定して以降、義務化が重要視されるようになり、令和4年4月1日現在では30都道府県が加入を義務付けており、9県でも努力義務となっています。栃木県も加入が義務付けられている県のひとつです。
 今は努力義務としている地域でも、将来的に義務化されていくといわれている自転車保険、今回は法人で加入する自転車保険についてご紹介します。

法人でも自転車保険は必要?

 コロナ禍で公共交通機関での移動時の密を避ける傾向や、健康志向の高まりから自転車を使用する方が増え、個人では自転車保険に加入している、または個人賠償責任保険に加入しているという方も増えています。個人で備えているならば、会社側では特に自転車保険に加入する必要はないのでは?と思われるかも知れませんが、実はそうではありません。何故なら、個人で加入している保険では、業務中の自転車事故は補償されないからです。

 例えば自転車で外回りをしている、配達に出ることがある、銀行や備品の買い出しに出かける、など、事業活動中に事故を起こし、他人に怪我を負わせたり、物を壊してしまった場合は基本的には使用者の責任となりますので、従業員が個人で加入している個人責任賠償保険では補償の対象になりません。そのため、事業中に事故が起きてしまった場合に備えて、事業者が保険に入っておくことが必要になります。

 とはいえ、自転車で起こす事故なら損害賠償を求められても大したことはないのでは、と思われるかも知れません。しかし、自転車事故による高額賠償事例は毎年のように起こっています。以下はその一例です。

 もし業務中に上記のような高額な賠償請求が発生してしまったら、先述の通り、責任を問われるのは事業者になります。そんな万が一への備えとして、法人の自転車保険はとても重要な保険のひとつであると言えるでしょう。

具体的にどんな保険があるの?

 

では、実際に法人で自転車保険の加入を検討する際には、どんな保険があるのでしょうか?
現在、事業者向けの自転車保険は大きく分けて2つあります。ひとつはTSマーク付帯保険、もうひとつが施設賠償責任保険です。具体的にどんな保険なのか確認していきましょう。

TSマーク付帯保険

 TSマーク付帯保険の「TSマーク」とは、自転車安全整備士の点検と整備を受けることで自転車に貼り付けてもらえる赤色、または青色のステッカーです。TSマーク制度は、自転車の定期的な点検整備を促進し、自転車の安全な利用と自転車事故の防止に寄与するとともに、万が一事故に遭ってしまった場合に被害者救済に資するために設けられたものです。
 TSマークの有効期間は点検の日から1年となっており、TSマーク付帯保険の保険期間もTSマークの有効期限と同じになっていますので、自転車を購入した時に一度TSマークをもらえば良い、というわけではなく、年に一度は点検と整備を受ける必要があります。TSマーク付帯保険の補償内容は青色TSマークと赤色TSマークで異なります。

 TSマークの取得に必要な点検・整備費用は、青色TSマークはおよそ1,500円、赤色TSマークはおよそ2,000円(自転店によって異なります)です。手頃な価格で補償が受けられるというメリットがあります。しかし、

・青色TSマークの賠償責任補償の金額は小さく、高額賠償になった場合に十分な補償が受けられない。
・入院補償は日額ではなく1回の入院が15日以上になった場合に一律で支払われるため、15日未満の入院の場合は入院補償が受けられない。
・モノに対する補償がない。

等の不足する点もありますので、注意が必要です。
 そのため、TSマーク付帯保険は、「必要最低限の補償を受けるために「赤色TSマーク」で加入しておくもの」、と考えると良いでしょう。

施設賠償責任保険

 施設賠償責任保険は、建物・設備・場所などの施設を所有・使用・管理している方が、施設そのものの構造上の欠陥や管理の不備による事故、もしくはその施設の内外で仕事を遂行中に生じた事故により、 法律上の賠償責任を負われたときに保険金が支払われる保険です。例えば、以下のような場合に保障の対象となります。

 自転車で外回りをしている、配達に出ることがある、銀行や備品の買い出しに出かける等、業務中に自転車に乗っている時に起こってしまった事故は、「業務活動に起因する事故」に含まれますので、施設賠償責任保険で補償を受けることが出来ます。自転車保険の加入を義務付けている各都道府県でも、事業者が自転車保険として加入する保険として施設賠償責任保険を挙げています。また、この保険の補償の対象は自転車による事故だけではないため、事業活動における様々な事故に対する備えとしても有効です。

 施設賠償責任保険では、

・損害賠償金:法律上で支払い義務が生じたもの
・訴訟費用:賠償責任におけるもの
・争訟費用:弁護士費用など
・損害防止軽減費用:求償権(賠償を求める権利)の保全や行使に要したもの
・緊急措置費用:事故発生時の応急手当や護送などに要したもの
・協力費用:保険会社の要求などに被保険者が応じたときに生じたもの

 これらの損害、費用に対して保険金が支払われます。賠償金はもちろんですが、訴訟などにまつわる費用の補填、応急手当や、更なる損害を防ぐための措置をとるための費用なども補償の対象に含まれます。簡単にまとめると、施設側の責任で起こった事故の訴訟・賠償などに関する費用全般を補償するのがこの施設賠償責任保険です。

 先ほどの事故例でも挙げた通り、人だけではなくモノの損害も補償の対象になるのが、TSマーク付帯保険との大きな違いのひとつになります。人にぶつかって怪我を負わせてしまったという対人事故以外の、車を傷つけてしまった、ぶつけた相手の持ち物を壊してしまったという対物事故も補償の対象になるのは、大きなメリットです。

 ただし、従業員の損害(従業員が負傷・死亡した場合)や、台風、地震、洪水といった自然災害による損害自動車による損害(自動車・原動機付自転車で起こした事故)等、補償の対象外となる事故もありますので、そうした事故に対しては、傷害保険や業務災害補償保険、火災保険(地震保険)、自動車保険といった別の保険で準備しておく必要があります。

まとめ

 

 いかがでしたでしょうか?

 自転車事故は数千万円という高額な賠償事故になることもありますので、無保険状態での自転車の使用には大きなリスクが伴います。こうした事故に対処するためにも、法人の自転車保険についてご検討してみてはいかがでしょうか?

 弊社では施設賠償責任保険に関するご相談も承っておりますので、お気軽にご相談ください。保険のプロとしてお客様の不安や疑問を解決するお手伝いをさせていただきます。

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