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保険コラム 社会保険のことを知ろうシリーズ4 ~障害状態になったときは~

 

万が一病気や怪我で障害が生じてしまった場合にも、支給される公的年金があります。
今回は現役世代でも、病気や怪我などで障害が生じた際に支給される「障害年金」についてご紹介します。

障害年金とは?

 

 日本では、20歳以上のすべての国民が「公的年金」への加入を義務づけられています。公的年金には、自営業や主婦、学生などが加入する「国民年金」、サラリーマンや公務員などが加入する「厚生年金」などがあり、誰でもいずれかの公的年金に加入することになっています。
 年金と言うと老後の生活を支える「老齢年金」のイメージが強いですが、「障害年金」は現役世代であっても障害や病気などの影響により生活に支障が出た時に受け取れる年金です。障害状態になるきっかけとなった病気や怪我で、初めて医師の診療を受けたときに加入していた公的年金で支給される障害年金が決まります。国民年金の加入者であれば「障害基礎年金」が、厚生年金の加入者であれば障害基礎年金に上乗せで「障害厚生年金」も支給され、障害者手帳を持っていなくても、障害年金を受けることが出来ます。

 記載されていない病気や障害であっても、日常生活に支障が出ている場合は受給対象となるケースがあります。

障害年金はどんな時に支給の対象になるの?

 障害年金を受給するには、まず下記の3つの条件を満たしていることが必須です。

1.公的年金(国民年金または厚生年金)の加入期間に初診日があること
2.障害認定日に、国が定めた障害認定基準に該当していること
3.保険料の納付要件を満たしている

1.公的年金(国民年金または厚生年金)の加入期間に初診日があること
 初診日とは、障害の原因となった病気やケガについて、初めて医師などの診療を受けた日のことです。障害年金は、初診日に加入している年金の種類によって、申請できる年金の種類が変わりますので、初診日はとても重要です。
 申請の際には、「受診状況等証明書」等の初診日を証明できる書類を提出する必要があります。初診を受けた病院で作成出来るか相談し、準備します。

2.認定日の状態、もしくは現在の状態が障害等級表に定める等級に該当していること
 障害認定日とは初診日から1年6ヶ月経過した日、もしくは1年6ヶ月以内にその傷病が治った場合(症状が固定した場合)は、その日のことを言います。障害年金の受給には、この障害認定日の状態が、国が定める障害認定基準に該当している必要があります。障害年金が支給される障害の程度については、「国民年金法施行令」および「厚生年金保険法施行令」によって、身体障害者手帳の等級とは異なる障害等級(1~3級)が定められています。障害基礎年金は障害等級1〜2級の人を対象としているため、3級以下の人は受給できません。障害厚生年金は障害等級3級も対象となり、初診日から5年以内に病気や怪我が治り、障害厚生年金を受けるよりも軽い障害が残った時には、障害手当金(一時金)を受け取ることも出来ます。

 また、一定の障害の場合は、1年6ヶ月を待たずに障害認定日を迎えることがあります。

3.保険料の納付要件を満たしている
 以下2つの納付要件のうち、どちらかに当てはまっている必要があります。
・初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の2/3以上の保険料が、納付または免除されている
・初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に、保険料の未納がない

20歳前に初診日がある場合は

1.初診日が20歳未満にあること
2.障害の状態が1級、2級であること

この2つが条件となります。
 初診日から1年6ヶ月後の認定日が20歳になる前であれば20歳の誕生日を迎えてから、認定日が20歳の誕生日以降であればいつでも障害保険の請求が可能です。20歳前の傷病による障害年金は、初診日に国民年金に加入していたとみなされ障害基礎年金が請求できます。
 高校卒業後に就職し、20歳前から厚生年金に加入している場合は、厚生年金に加入した後に初診日があれば20歳前の傷病にならず、障害厚生年金の請求が出来ます。

障害者年金はいくらもらえる?

 

 支給される障害年金の額は、等級、加入していた公的年金の種類、障害の程度や配偶者・子供の有無によって決まります。障害年金は2階建て年金といわれており、障害基礎年金はその土台にあたる部分です。厚生年金に加入している人は、障害基礎年金に上乗せして障害厚生年金が支払われる仕組みになっています。

障害基礎年金の場合
 障害基礎年金の場合は等級によって決まっており、1級の場合は年額972,250円、2級の場合は777,800円です。受給される方に18歳到達年度の末日までにある子(障害者は20歳未満)がいる場合は、子の人数によって加算が行われます。1人~2人目は1人につき223,800円、3人目以降は1人につき74,600円です。例えば、18歳到達年度の末日までにあるお子様が3人いる国民年金に加入している方が障害の等級1級と認定された場合の支給額は

972,250円+223,800円+224,500円+74,600円=1,494,450円  (令和4年4月分から)

となります。
 なお、先述の20歳前の傷病による障害基礎年金の受給者には所得制限があり、前年の所得が一定の額(令和4年4月現在は3,704,000円)を超えたら年金額の半額相当が支給停止となり、さらに一定の額(令和4年4月現在は4,721,000円)を超えたら全額が支給停止となります。20歳以降の傷病に係る障害基礎年金には所得制限はありません。

障害厚生年金
 初診日の時点で厚生年金に加入していた人は、障害基礎年金に上乗せする形で障害厚生年金を受け取ることが出来ます。障害基礎年金は障害等級2級までが受給対象でしたが、障害厚生年金は障害等級3級までが受給の対象になります。
また障害厚生年金は定額ではなく、以下の計算式で産出された金額が支給されます。

1級
(報酬比例の年金額)×1.25+〔配偶者の加給年金額(223,800円)〕

2級
(報酬比例の年金額)+〔配偶者の加給年金額(223,800円)〕

3級
(報酬比例の年金額) 最低保障額 583,400円

 配偶者の加給年金額はその方に生計を維持されている65歳未満の配偶者がいるときに加算されますが、配偶者が退職共済年金や障害厚生年金などを受給している場合は加算の対象外となります。
 障害厚生年金は障害基礎年金と違って、それまでの平均月収額等によってもらえる金額が変わります。ただし、最低保証額の583,400円を下回ることはありません。ご自身が万が一障害状態になり、障害厚生年金を受け取ることになったらいくらもらえるのか、インターネットに計算ツール等が公開されていますので、一度確認してみるのも良いかもしれません。

障害年金を受けるには?

  障害年金を受給するには、障害基礎年金なら年金事務所かお住まいの市区町村の窓口へ、障害厚生年金なら年金事務所へ申請をする必要があります。ご本人が窓口に行くのは難しいという場合は、ご家族などの代理人が申請することも可能です。
申請には2つのパターンがあります。

1.「障害認定日」による請求
 障害認定日に障害等級が1級もしくは2級(厚生年金加入時であれば3級も含む)の状態であるときに、「障害認定日」を過ぎたタイミングで申請をして請求するパターンです。障害年金の申請を行う場合は一般的にはこちらのパターンになります。障害認定日による請求の場合は請求日からさかのぼって、障害認定日の翌月分から年金をもらうことができます。

2.「事後重症」による請求
 障害認定日に1級もしくは2級(厚生年金加入時であれば3級も含む)の状態に該当しなかったとしても、その後症状が悪化し、等級に該当する障害の状態になったときに請求するパターンです。例えば、糖尿病になり、障害認定日には障害年金の支給要件に該当しなかったが、半年後に人工透析を開始したことにより支給要件に該当したため障害年金の請求をした場合はこちらのパターンになります。事後重症による請求の場合、請求日の翌月から年金をもらえるため、請求が遅くなるとその分受け取りが遅くなります。

申請の際には以下のような書類が必要になります。

・基礎年金番号通知書または年金手帳等の基礎年金番号を明らかにすることができる書類
・ご本人の生年月日を明らかにできる書類(戸籍謄本、住民票など)
・所定の形式による医師の診断書
・受診状況等証明
・病歴・就労状況等申立書
・受取先金融機関の通帳等(本人名義)
・印鑑                等

 障害年金の手続きは、初診日の確認など複雑になることが多いため、まずは最寄りの年金事務所に相談するのがおすすめです。また、社会保険労務士などが手続き代行のサービスなどを行っている場合もありますので、障害年金を受給したいけれど手続きが分からない……というような場合はそういったサービスを利用するのも良いでしょう。

まとめ

 いかがでしたでしょうか?障害年金は、万が一病気や怪我などで障害状態になって働けなくなってしまった場合に役に立ちます。老齢年金や遺族年金などに比べると知名度が低い年金ですが、もしもの時のために覚えておくと安心です。
障害年金だけでは足らなさそう……というような場合は民間の就業不能保険などで備えることも出来ます。そうした場合はぜひ弊社にご相談ください。

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